両者の共通点である基本理念は?
1ノーマライゼーション
2自己決定権の尊重
3身上保護の重視(残存能力の活用)(エンパワーメント)
エンパワーメントは、本来は「力をつける」という意味でありますが、介護福祉においては、障害を持った方、あるいはその家族がより内発的な力を持ち、自らの生活を自らコントロールできること、または、自立する力を得ることです。
対象者は?
法定後見 → 判断能力に問題がある方(契約時期は判断能力が低下した後)
任意後見 → 判断能力に問題がない方(契約時期は判断能力が低下する前)(後見人を誰にするか、どのような代理権を与えるか選べる)
後見人を選任するのはだれか?
法定後見 → 家庭裁判所が選ぶ
任意後見 → 本人が選ぶ
監督人の有無?
法定後見 → 裁判所の判断による
任意後見 → 監督人は必須(家庭裁判所が選ぶ)
効力の発生時期
法定後見 → 成年後見人に後見等の開始の審判書が届いてから2週間経過後
任意後見 → 任意後見監督人が選任され、任意後見監督人に審判書が届いてから2週間経過後
裁判所に申立てできる人はだれか?
法定後見 → 本人、配偶者、四親等内の親族等
任意後見 → 本人、配偶者、四親等内の親族等、任意後見受任者
代理権の範囲の決め方?
どちらも代理権あり。でも代理権の範囲の決め方が違う。
法定後見 → 後見人の代理権の範囲は無制限。契約で定めなくてよい。保佐、補助の代理権の範囲は「特定の法律行為」。
任意後見 → 代理権の範囲は任意後見契約で定める。代理権目録作る。介護施設の入居契約とか代理する。代理権しかない。
同意権の有無は?
法定後見 → 後見人には同意権ない。しかし、保佐人、補助人にはあり。
任意後見 → 同意権なし。任意後見人に同意権を与えることはできない。
取消権の有無は?
法定後見 → 取消権あり。
任意後見 → 取消権なし。本人がした法律行為を取消すことができない。独立した取消権はないが、任意後見契約の代理権目録に書いておけば、取消権の代理行使はできる。
高齢者の法律能力の制限をなくすことができるか?
法定後見 → 補助では、能力制限を皆無にもできる
任意後見 → 法律行為能力を一切制限しない。
根拠法令の違いは?
法定後見 → 民法7~21条、民法838~876条の10
任意後見 → 任意後見契約に関する法律
類型の違いは?
法定後見 → 後見、保佐、補助
任意後見 → 後見のみ
両制度が競合、優先するのはどっち?
併存しない。任意後見監督人を選任する時、本人が法定後見等受けていたら、法定後見は取消(任意後見契約法4条2項)。任意後見監督人が選任された後、後見等の審判うけたら任意後見契約終了(任意後見契約法10条3項)